2001 年発表の第四作「Transizione」。内容は、トニー・バンクス系キーボード、ヴァイオリンをフィーチュアしたファンタジックなシンフォニック・ロック。歌もあるのだが、サウンドの印象からは、「物語」というよりも叙景的でアンビエントなニュアンスを感じる。キーボードの演奏は、これまで通り、ラベル、フォーレ系のきわめてクラシカルな本格派にしてバンクス系の波打つようなオスティナートも大好きなのが分かるものだ。さまざまな音色を自在に操って伸びやかに歌い上げる、もしくは小刻みなオスティナートをモザイクのように並べてゆく表現が主であり、攻め、追い込むような表現はほとんどない。攻撃性が感じられないのは、一つには、ハモンド・オルガンがなく、シンセサイザーと教会風のオルガン、管絃、メロトロン風ストリングスが主なせいだろう。そこへ、フラウト・トラヴェルソ、ヴァイオリン、アコースティック・ギターなどのアコースティックな音で素朴かつ古典的なニュアンスを付加してゆく。つまり、スティーヴ・ハケット、アンソニー・フィリップス、ゴードン・ギルトラップらに通じる世界になっている。張りのあるエレキギターもメロディアスな、いい見せ場をもっているが、フィードバック含めなぜか音が LE ORME が最近使っているシミュレータによく似ている。今回は、曲調がクラシカルに振れたときの、ヴァイオリンの存在感がいい。また、イタリア語のヴォーカルがオペラ風に響いてくるのは強みである。さらには、2 曲目のように、クラシカルなプログレにとどまらない英国ロック的な感性もあるようだ。
   作風は今後もこの GENESIS/ハケット-ファンタジー路線を基調としそうな感じだが、個人的には第二作のようなアグレッシヴに圧倒するような演奏スタイルをまた見てみたい。
   ところで、ずいぶんメンバーは増えたが、なぜかリズム・セクションはシンセサイザー経由(実演の可能性もあるが)のままである。コラード・サルデラ氏のこだわりなのかもしれないが、ドラムスの弱さは少し気になる。