99 年発表の第二作「Segni Premonitori」。内容は、テクニカルかつアグレッシヴなキーボード・シンフォニック・ロック。ドラムス含め、ほぼすべての楽器をシンセサイザーで操っているようだ。 70 年代プログレは当然として、特徴的なのは、ジャズロックや AOR 影響下のスタイリッシュな音やプレイがあること。キーボードの演奏スタイルは、トニー・バンクス風偏屈叙情系四割、EL&P 風やや邪悪系三割、U.K. ジョブソン風スリリング系二割に、ヤン・ハマー系テクニカル・ジャズロック調を盛り込んだものである。このスタイルを基本に、攻撃的なプレイから叙情的なプレイまでを幅広く矢継ぎ早に切り換える。華やかなシンセサイザーの音質とたたみかけるようにキメ捲くるところは、U.K. や David Sancious との共通点を感じる。デジタル・シンセサイザーだとは思うが、ムーグ・シンセサイザー的な管楽器系の音がカッコよく出ている。ギター、ベース、ドラム、すべてをシンセサイザーで対応しているようだが、演奏にいいグルーヴがあり、実際のバンドのような呼吸がある。これは驚くべきことだろう。(まあ、全員自分だから理屈としては呼吸が悪いはずはないのだが)要は、一人多重録音の弱点を意識させるようなところはないということだ。リズムも、フィル・コリンズを思わせるスピーディなドラムから、モダンなプログレ・メタル調まで、なかなかヴァリエーションがある。ドラム・シンセサイザーなるものは、おそらくキーボードで操作するのだろうが、タメによる迫力こそ今一つながらも音はかなり自然である。ギターもメタリックな音色によるモダンなプレイを主にアクセントとしてしっかり機能している。 7/16 のリフ(たまに 9/16 だが印象は同じ)や妙になめらかなシンセサイザーの音など、ポンプ風の紋切り型が少し気になるが、些細なことでしょう。楽曲は、特にあげるなら、クラシック的なフレーズを変拍子のリフへとうまく組み込みつつ、正統的なシンフォニーを奏でるタイトル・ナンバー。 5 曲目もいろいろ盛り込まれていて楽しい大作である。一部ヴォーカルが入るが、ほぼインストゥルメンタル。一人キーボード・ロックの傑作。キーボードのみの作品が少し苦手な私でも、最後まで聴きとおすことのできる作品です。 NATHAN MAHL といい勝負。アブストラクトなジャケットもよし。タイトルは「前兆」の意。